みっちゃんワールド #10 ハロウィンの話
今、あたしはダッシュで逃げていた。車より早く、ダチョウよりも早く、チーターよりも早い。きっと今のあたしは女豹ってやつなんだと思う。なぜ逃げているのかと言うと、 「トリックオアトリート!」 家からダッシュでゆずちー家を目指していたところポンちゃんを見かけたので声をかけてみたよっ! ハロウィンだしね、これが挨拶で問題ないと思う。 「なんや? お菓子か悪戯かお姉さんに選べと言うんか?」 以上である。ゆずちーの家の近くでなんとかポンちゃんを撒くことがことができた。はぁ、よかったぁ。もう少しで人様にはお見せできない悪戯をされてしまうところだったねっ! 危ない危ない! この歳で社会的に抹殺されるのはごめんだよっ!! 捕まるならポンちゃんだけにしてねっ! 「おじゃましまーす。ゆずちーさっきぶり」 ゆずちーに麦茶を貰って喉を潤している間にくーちゃんが出現。テレポーテーションかっ!? 「待たせたな諸君。シャワー浴びてたら遅くなった」 いくらなんでもポンちゃんが警察に捕まるのは可哀想すぎる。ポンちゃんにはゆずちーの胸をAランクからBランクまで昇格させた功績があるんだしね! ハロウィンのカボチャに免じて許してあげよう。 「あのカボチャ、ジャックオランタンって言うんだぞ」 ジャックだかクイーンだか知らないけどそれはまた今度! 今日のメインはそれじゃあないんだよっ! 「ゆずちー! トリックオアトリート!」 ゆずちーお手製クッキー袋入りを手に入れたあたしが大喜びするのは当然。当たり前。自然の真理! 「おお~う、あま~い」 これぞ今日のメイン! トリックオアクッキーだ!! 「お菓子か、悪戯か、ですか?」 あたしがゆずちー家にダッシュしていた理由である。 「食べるの早いな」 そしてくーちゃんもゆずちーに顔を向け、 「トリックアンドトリート!」 クッキーを手渡してから何かがおかしかったことに気づいたゆずちー! あたしも適当に聞いていたわりに気が付いたよ! オアっていうところをアンドって言った。絶対に言いました! みっちゃんイヤーに間違いはありませんっ! 「お菓子をくれても悪戯しちゃうぞー!」 さっきポンちゃんに捕まっていたらそうなっていたんだろうなぁという光景が目の前に広がりました。くーちゃんがゆずちーを襲撃。両手で揉みまくっております。ゆずちーが涙目になったところで特別公演は終了しました。 あたし……大人になってもああはなりたくないなぁと思いました。 「……くーちゃん、あとで、覚えていてくださいね」 なんだかよくわかりませんけど、くーちゃんはソファの陰でぶるぶる震えだしました。 「みっちゃんも……さっきのことを学校で喋ったりしたら、とんでもなく悪夢をプレゼントします……」 低い声で急に言われて背中が寒くなったよ……。 「よし、復活。私へお仕置きしたいのならすればいい。だがな、ゆずちー。先にこの話はしておこう」 土下座までし始めるくーちゃん。……名前の由来はクールなのに全然クールじゃないよね、くーちゃんって。 「ところでくーちゃん、何の話をしようとしてたの? あたしにも関係ある話?」 ハロウィン――10月31日にあたし達がクッキーとかを貰うかわりに、あたし達はワルプルギスの夜――4月30日にお返しをする。それがいつの間にかルールになっているんです。 「ハロウィンにワルプルギスか。日本人にはあんまり馴染みない言葉の上に意味もよくわからないんだけど、まあ別にいいか。楽しければそれで」 くーちゃんがその日カボチャに襲われる悪夢を見たらしいけど、ゆずちーは関係ないと思う。まさかゆずちーの復讐だなんてそんなことあるわけないよね……あは、ははははは……。 |
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