みっちゃんワールド #27 Walpurgisnacht Party phase2: 主催者の話
全世界にお住まいの関係者の皆様へ本場ワルプルギスの夜をプレゼント! メイフェアまでの10時間、死者との宴をゆっくり楽しんでいってね♪ うっかり死者になってしまってもそれは自己責任で! それでは偽りの神秘をご堪能あれ〜♪ ――『境界式』のアナウンスより 「と言うわけでクソ面倒なことになっているぞ、譲葉」 お寺とか神社とか教会とか神殿とか完全に滅茶苦茶じゃないですかっ!! どうしてこう人類を超越した存在というのはおかしなことばっかりしかしないんですかっ!! 「貴女がソレをいいますか。中途半端に『甘さ』を消したり、中途半端に『時間ループ』を引き起こした貴女が」 聞こえません、聞こえません! ゴシックロリータ少女の言葉なんて私の耳には届きません!! 「なんとかしてください」 どこに電話をするつもりなのか分かりませんけど、何か対処してくれそうなので渡しました。 「私だ。紫光院紫だ。久しぶりだな海深。今夜の件みっちゃんから聞いてはいるだろう? うむ。今夜はコスプレパーティに変更だ。みっちゃんにネコ耳でもつけさせてくれたまえ。無論、お前さんのコレクションにその手のものはあるのだろう? うむ。どうやら利害は一致したようだね。ではそれで頼む」 みっちゃああああああああん……。 「なんの電話してるんですかぁぁぁぁっ!!」 今まで『無言』でグレープジュースをワインのようにゆらゆらしていた私と同年代に見える女の子、アマリリス。お母さんの知り合いのアガシオンだそうです。飲食ができて、怪我もして、風邪まで引くというのにその実体は人形という不思議な子です。 「それは別に構いませんがここで服を脱げというのですか。この変態百合ババア」 アガシオン……「実体を持たない使い魔」にここまでボロクソ言われているマスターってどんな人なんでしょう? 「行きましょう譲葉さん。服をお貸しします。私の裸を見ても興奮しないでくださいね」 指を一振りしてお母さんの持つ記録装置を破壊。電気でちょっとくらい感電するかと思いきやお母さんはピンピンしてました。 「………………中々いい魔力制御だ。だが魔法の力を破壊に使うのはあまりよろしくないぞ」 そんなわけで私はゴスロリドレスを着ることになりました。こんな服、今までに一度も着たことないのに。今後着る予定もなかったのに……!! リビングに戻ってみたら、お母さんが狐巫女になっていました。ですから歳を考えてください!! 「くーちゃんは吸血鬼になるらしいぞ。認識阻害状態のトマトジュースでもがぶ飲みして貰おう」 私、トマトの加工品は基本的に大丈夫なんですけど、ジュースだけはダメなんです。生のトマトとは違う濃厚な味が気持ち悪さへと直結して吐いてしまいます……。 「今回の怪異に限っては効果時間終了まで待つしかないだろう。あるいは……対応してみるか譲葉? お前の魔法ならば過去の改変も一応は可能だろう」 そんなわけで本日は急遽コスプレパーティをすることになりました。まあ、パーティと言っても集まってご飯食べる程度のささやかなものですけど。その小さな幸せすらぶち壊しにくるというのならば、私は戦います! 結界はお母さんが適当に書き換えたので、私は家の中にペタペタとお札を貼っていきました。ないよりはマシだと思います。 「もういい。お前さんは頑張った。そろそろ2人とも来る頃だろう。そんな疲れた顔をしていないで少しくらいは休んでおけ」 部屋に戻って少し休むことにしました。 「お疲れ様です」 私が着ている漆黒のドレスの本来の持ち主であるアマリリスさんからねぎらいの言葉を頂けました。どうやら私があれこれしていることはばれてたようです。 「何かあれば私も手を貸しましょう。七大驚異のうちの一つ『境界式』、面白いことをしてくれます。いずれは会ってみたいものですね」 そんなことより、とアマリリスさんは続け、 「このアニメの3話はどれですか? 次のDVDが見つかりません」 なんて……言うんです。 「たった一つを極めるのか、色々手を出してみるのかは貴女の自由。貴女は魔法使いではありますがアニメの主人公ではありません。適当にやっていては絶対に壁にぶつかります。ですから目的を持って行動しましょう」 しばらくベッドに倒れこんでいたら、ピンポーンというチャイム音。 「お友達が来たようですね」 私達のワルプルギスの夜はまだまだ始まったばかり。デビルホーンを頭につけて玄関へと向かいました。 ――Walpurgisnacht Party/ワルプルギスナハトパーティ 了 |
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